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蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹(じんましん)とは
蕁麻疹(じんましん)とは、強いかゆみとともに、皮膚が蚊に刺された時のようにみみず腫れになる疾患です。
発疹の形は、小さなものから地図のようなものまで様々で、出現する数も様々です。
それぞれの発疹は数時間~半日程度で消えるのが特徴で、体の色々な部分に繰り返し出る場合もあります。
蕁麻疹(じんましん)の分類
急性蕁麻疹 ・・・ 出現、消退の繰り返しが1日から数週間で治まる。
慢性蕁麻疹 ・・・ 出現、消退の繰り返しが6週以上繰り返す。
人工蕁麻疹 ・・・ ひっ掻いた所に、同じように発疹ができる。
蕁麻疹(じんましん)の原因
人口の2割程度が一生のうち一度は発症するという蕁麻疹の原因を特定することは難しい場合が多く、原因不明と言わざるを得ないケースが多くあります。
しかし、以下のようなものが原因として挙げられていますので、思い当たる場合には、それを避けてみることをお勧めします。
外因性
<アレルギー性>
・食べ物(魚介類、肉、乳製品、小麦、食品添加物 など)
・薬剤
・ダニ、ほこり、カビ
・花粉(季節性がある)
<非アレルギー性>
・摩擦、圧迫、ひっ掻くなどの刺激
・温度(寒冷、温熱)刺激
・日光
・鎮痛剤やアスピリンなどアラキドン酸代謝に影響する薬剤
内因性
<アレルギー性>
・病巣感染(虫歯、扁桃腺炎など)
・感染症(風邪などの一過性のもの)
<非アレルギー性>
・ストレス(自律神経の乱れによる)
・内臓の炎症(胃炎、肝炎、胆のう炎、など)
・ホルモンバランスの変化(甲状腺機能異常、血圧変動、妊娠や更年期など)
蕁麻疹(じんましん)の治療
抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤の内服が治療の主体です。内服している間は発疹が抑えられていますが、内服を中止すると再び出現することがあります。
また、一般的な薬剤で治療困難な場合には胃薬の一種(H2拮抗剤)やロイコトリエン拮抗薬を併用すると有効なケースがあります。それでもコントロールが難しいケースでは、ステロイド内服剤や免疫抑制剤を用いることがあります。
慢性蕁麻疹の場合には、発疹の再発をみながら、内服量と回数を徐々に減らしていきます。しかし、薬の減量にあせりは禁物です。
オマリズマブ(ゾレア®)・・・ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤で蕁麻疹反応の直接的な原因蛋白であるIgEをブロックします。食物、物理的刺激等の蕁麻疹の症状を誘発する原因が特定されず、内服の増量等の適切な治療を行っても、日常生活に支障をきたすほどの痒みを伴う膨疹が繰り返して継続的に認められる場合に適応となり、4週おきに3回皮下注射します。なお当院では取扱いがないためご希望の方は病院施設等を紹介いたします。
特殊な蕁麻疹(じんましん)
クインケ浮腫
急性限局性皮膚浮腫とも言います。
唇や眼瞼など、ある特定の目立つ場所に出現します。一度出現すれば数日間同じ場所に居座り、多くの場合は年余にわたり再発を繰り返します。
早めのステロイド剤内服が有効です。
口腔アレルギー症候群
果物や野菜を食べると、口の中や喉の奥がイガイガしたり、喉が詰まったような感覚が出現する病気です。しばらくすれば症状は消退しますが、中には口唇の浮腫や蕁麻疹が出現することがあります。多く報告されているのはリンゴ、モモ、ナシ、ビワ、イチゴ、サクランボなどのバラ科の果物、メロン、スイカなどウリ科の果物、キウイやバナナなどの果物、ジャガイモ、トマト、ナスなどです。ハンノキやシラカバといったブナ目の樹林花粉等に感作されることで、交差反応が引き起こされるため出現します。ブナ目の樹林は1月から5月くらいまで花粉を飛散させるので、その期間抗アレルギー剤を服用すれば予防や症状の軽減につながります。
乾癬(かんせん)
乾癬(かんせん)とは
乾癬(かんせん)とは、境界のはっきりした、赤い発疹で、銀白色の鱗屑(りんせつ。かさかさした、厚いかさぶた状のもの)が付着しています。
多くは、円形や楕円形をしていますが、その大きさ、形は様々です。かゆみを伴うこともあります。
発疹は主に、腕や脚の伸側、腰部や臀部、頭部に繰り返し現れ、慢性に経過します。ひっ掻く、擦れるなどの機械的な刺激が繰り返されると発疹が出現します。
皮膚以外にも、爪の変形や関節炎を伴うこともあり、最重症ケースでは高熱と膿み(膿疱)を伴います。
乾癬(かんせん)の原因
基礎に遺伝的要因があります。そして、二次的な要因が引き金となり、発症する多因子疾患と考えられています。
その要因には、内分泌障害、高脂血症などの代謝障害、糖尿病、病巣感染、アレルギー、薬剤、物理的刺激、動物性脂肪の多い食事などが考えられています。乾癬と高脂血症≫
乾癬は白人に多い病気で、人口の1~2%の方が乾癬を発症しています。
白色人種は牛や豚などの肉類摂取量が多いこと、戦中戦後の日本ではこの病気の有病率が低かったこと、生魚をたくさん食べるイヌイットには乾癬が極めて少ないこと、などからこの病気には高脂血症が増悪因子である可能性が考えられています。
乾癬(かんせん)の治療
乾癬には様々な治療があります。発疹の状態、重症度、患者さんの日常生活の質、健康状態、生活環境などを十分に考えた上で、以下の治療を組み合わせています。
外用療法
ステロイド剤 ・・・ 有効な薬ですが、長期連用では皮膚が薄くなったりすることがあります。
活性型ビタミンD3軟膏 ・・・ 1~2ヶ月くらい外用を続けていくと、効果が出ます。
内服療法
抗アレルギー剤・・・痒みに有効な場合があります。
免疫抑制剤(シクロスポリン)・・・ 長期連用では血圧や腎障害などの副作用に注意を要します。
ビタミンA(レチノイド) ・・・催奇形性等があるので使用上注意を要しますが、関節症状も含め奏功します。
メトトレキセート・・・以前から関節リウマチの基本治療薬でしたが、乾癬には2019年認可されました。週に1回ないしは2回服用し、長期連用では間質性肺炎、肝機能や貧血などに注意が必要ですが欧米では標準治療薬であり、奏功する薬剤の一つです。
オテズラ(PDE4阻害剤)・・・2017年認可された免疫調節作用のある薬剤で小型の皮疹(滴状乾癬)に有効な場合が多くみられます。内臓障害等はほぼありませんが、下痢、嘔気、頭痛が1か月程度みられることがあります。なお薬価(調剤代を含まない)は、3割負担者では30日分が約1万8千円と高価です。
ソーティクツ(TYK2阻害剤)・・・細胞内のTYK2という経路を阻害して細胞の活性化を抑える内服製剤が2022年認可されました。16週間で乾癬が75%改善する確率は約8割、と高い効果が期待できます。一方結核や肝炎ウィルス等の免疫を低下させる可能性があるため、内服の導入(初期治療)は総合病院等に紹介となります。なお薬価は3割負担者では30日分が約2万5千円と高価です。
光線療法
ナローバンドUVB ・・・波長308nmのUVBを照射します。週1回から2回程度継続することで、改善や維持が期待されます。夏季に改善する患者さんに奏功します。
生物学的製剤
乾癬の増悪因子の一つ、TNFαをブロックする治療法が、2010年認可されました。注射・点滴製剤で、IL-17やIL12/23をブロックする製剤も次々認可され、現在8つの薬剤がありますがとても有効な治療法で、皮疹が全く無い状態を維持することも可能です。使用間隔は2週、4週、8週、12週と様々ですが、薬剤費の1か月分換算は概ね15万前後(3割負担者で5万前後)と極めて高額となります。なお結核予防等の注意が必要ですので、大学病院や総合病院などの大きな施設での導入が必要です。
乾癬友の会
患者さんたちの会です。
全国各地に友の会がありますので、興味がある方は一度訪問して下さい。
https://www.maruho.co.jp/kanja/kansen/way/association/
秘湯の旅
北海道の稚内から南へ40km、日本では珍しい石油成分(タール成分)を含有する温泉があります。豊富温泉という温泉です。石油成分には刺激症状があるため、万人に有効ではないと思いますが、平成以降、乾癬やアトピー性皮膚炎にも効果のある温泉郷として知られています。https://www.toyotomi-onsen.com/